死神の嘲笑

「栗原君、ここは、このような書き方ではいけないんです」

「申し訳ありません」

臨の提出する書類にだけ、細かい箇所までチェックし、何度も書き直させる。


「森田課長は、毎年、最年少の部下にだけ厳しく当たっているんです。人が変わったように。今年は、入ってきたばかりの栗原さんが標的にされてしまったんです」

よく仕事を共にする四十代半ばの温厚そうな同僚・佐原が教えてくれた。

「そうなんですか。では、僕より若い方が入ってくれば……」

「変わるかも、しれません」


最低、あと一年弱の辛抱か、と臨は心の中で溜め息をついた。