死神の嘲笑

「僕はあなたのことをそれ程怖いと感じません。少し疲れていますし、待っている間はここでいても構いませんか?」

「ええ、勿論」

満足そうに口を開いた死神は、長い爪を持つ手を空中にかざした。


すると、椅子が一つ、出現した。

ベージュの布張りの、上等そうな椅子だ。

「凄いですね。やはりあなたは人間とは大きく違います」

だが、死神はつまらなさそうに返事をする。

「人間にとって『普通』ではないことも、死神にとっては『普通』なんです。ですから、だんだん面白くも何ともなくなるんですよね。それに……」

小さく、息を吐き出した。

「私は生まれた時から、死神でしたから」