死神の嘲笑

「俺、就職活動を始めたんだけど、栗原はやっぱり……」

大学三年の秋、久々に会った菊野は臨に切り出す。

「大学院に二年行って、地方公務員を目指すよ」

「そっか。栗原は常に目標をしっかり持って、羨ましいよ。俺なんか人生ただボーッと時が流れるのに任せて生きてる感じだし」

「そんなことないだろう。菊野は友達がたくさんいるけれども、僕にはお前しかいない。内に篭りがちな僕が持っていないものを、お前は多く持っている」

心からの言葉だったが、菊野は照れたようだ。

「栗原から褒められると嬉しいっていうか、こそばゆい」

「何だよ、それ」

二人に、自然と笑みがこぼれた。