何故なら、瑠夏には友人からやたらと恋愛相談を持ちかけられる事が多い。


人に自慢出来る程の恋愛も経験しておらず、聞き上手でもない。
寧ろはっきりと言ってしまう事も多く傷付く事もあるだろうに、
それでも瑠夏には恋愛相談が止まない。


友人からは【恋愛カウンセラー】と呼ばれて居たりする。


カウンセラーなどと呼ばれる程、凄い事はしていないというのに。
大概の友人は瑠夏をそう呼ぶ。


瑠夏はいつも困惑顔で、自分の恋愛はお粗末なものだというのにと苦笑いを浮かべていた。


瑠夏は起き上がり、リビングにある本棚に読んでいた本を戻す。
本棚はリビングの1/3を占領している。数千冊はあるだろうか。


瑠夏の仕事はOLを経て現在は小説家だ。
仕事柄勉強を兼ねているが、元から本を読むのが好きだった。


好きがこうじてたまたま、思いついた物語を趣味で書き、
雑誌の編集者をやっていた友人に見せた。
笑われるかと思っていたが、意外と好評だった。
その友人は有名所の出版社のコンテストがある事を教えてくれたが、
瑠夏は全く興味が湧かず、寧ろ恥ずかしかった。


そのまま暫く経って、その友人から電話が掛かって来た。

「応募しといたから。」

「は?」

そこから私の人生は変わった。

大賞ではなかったが、特別賞を受賞した。

それがきっかけで、友人の担当している雑誌に短篇を載せてみないかという声が瑠夏に掛かったのだ。


瑠夏には信じられない話だったが、
仕事の合間に時間をつくり締切に追われながらも
何とか切り抜けた。

そうこうしてるうちに依頼は増えてきており、
その頃、勤めていた会社に吸収合併の話が上がり
早期退職者を募っていた事、経営方針も納得がいくものではなく、
退職に挙手した事で物書きの仕事を始めた。


生活が安定する訳はないと思い求職をしつつの執筆活動だったが、
瞬く間に話はとんとん拍子に進み、ついに本を出版する事になった。

瑠夏は自分の事ながら、実感もなくひたすら思いつく事を紙に認めていった。