「2つも戻るなんて、これこそ前例ないぞ。」
不思議そうに小さな船長さんを見る医者。
その視線に怯えてしまったのか、小さな船長さんは私を盾にして背中に隠れてしまった。
「お姉ちゃん…このおじさん怖いよ。」
うるうると泣き出しそうな顔をして言った小さな船長さん。
泣かれたら困る、と医者は私に船長さんの面倒を任せると言い残しテントを後にした。
「えっと、もう大丈夫だよ!」
隠れていた船長さんの頭を撫でる。
なんか、船長さんを見下ろすなんて変な気分…。
おずおずと私の前に座った船長さんはいつもよりあどけない顔をしていて、とても可愛かった。
「お姉ちゃん、名前は?」
「あ、悠里です。よろしくね船長さん!」
「俺は船長さんじゃないっ!ミナトだっ!」
可愛い顔で一生懸命言う船長さんはなんて可愛いんだろうか。
「よろしくね、ミナトくん!」
そう言った私はとりあえず一緒に寝ることにした。
山登りからきのこ集めまで、今日はうんと疲れたから正直死ぬほど眠い。
それを察したくれたのか、ミナトくんはおとなしく布団に入ってくれた。
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