「準備出来たら迎えに来るから、それまでここでおとなしくしてろよ、ユーリ!」
軽いリップ音の後、耳元で囁いて走り去っていったバンダナのお……いや、カムイ。
私の初頬キスはあのカムイに奪われてしまったのだ。
慌てて頬を押さえながらキッと睨みつける。
私だって、このぐらいの距離さえあれば睨むなんてこと容易に出来るんだ!
それを何を勘違いしたのか、私と目があったと喜んでこちらに手を振ってくるカムイは、1度眼科に行った方が良い気がする。いや、絶対行くべき。
遠のく船を睨みつけ続ける私を現実に戻したのは船長さんだった。
「さっさと行くぞ。」
そう言って引っ張ったのはキスされた方の頬。
痛い痛いと叫ぶ私に、躾だと言ってやめない船長さんは本物のSに違いない。
私がアレンさんたちの元にたどり着いた頃には、私の頬は引っ張られた痕が残り、赤くじんじんしていた。
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