「っててて……。」
思いっきり潰れた鼻を押さえて顔を上げる。
目があったその顔はとても見覚えのある悪い笑顔だった。
「よぉユーリ。誰がペット辞めて良いって言った?」
「………誰も言ってません。」
「だよな?」
分かってんじゃねえか、と頭をぐしゃぐしゃになで回される。
不本意だけど、船長さんが来てくれたことにとてつもなく安堵した。…本当に不本意だけど。
頭をぐしゃぐしゃされるのが嫌で一歩船長さんから離れる。
しかし後ろに退いた私は、追いかけてきていたバンダナのお兄さんに背中をぶつけてしまった。
「ミナト盗賊団か。船のことは許してやる。だが替わりにユーリは俺らが貰っていく。」
そのまま私の首に腕を回してきたバンダナのお兄さん。
逃れようともがいた私は、ふと正面から恐ろしい視線を感じた気がした。
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