「おまえ、名前は?」
「ゆ、悠里です。」
ふーん、と顎にやった手をするすると動かして頬を撫でる。
ちょっと待って、何このいきなりの甘い空気。
くすぐったいし恥ずかしいし怖いしのトリプルパンチで私はとにかく逃げ出したい。
それでも逃げること自体怖くて出来ないチキンな私は固まったままその手が離れることを待っていた。
満足してくれたのか、ようやく手を離してくれたバンダナのお兄さん。
安心したのも束の間、あろうことか非常識なこと言いだし始めた。
「なー。俺、ユーリ船に乗せようかなって思うんだけど。」
「えっ!?」
なんで船長さんといいバンダナのお兄さんといいこんなにも自分勝手なのだろうか。
当然、ここでも私を乗せようとすることに批判する声が上がった。
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