なんなんだろう、あの金銭感覚は。
なにどう生活してくればあんな風になるんだろう。
考えても分からなくて、これは私がしっかりしなければ、と前を見たとき、前にいるとばかり思っていた船長さんはいなかった。
「え………?」
辺りを見回しても見知らぬ人たちが行き交ってるだけで、見慣れた船長さんの背中はどこにもない。
おいて行かれたのかもしれない、と真っ直ぐ道なりに走ってみたけど、船長さんらしき人を見つけることはできなかった。
「なんでこうなるんだろう……。」
自分がしっかりしなきゃ、と思った矢先に迷子なんかになって。
知らない世界に知らない土地。
今の私には唯一いたこの世界でのより所も、いまはない。
「……っ、家に帰りたいよぉっ」
抑えきれなくなった涙は溢れんばかりに落ちていく。
そして、どのぐらい泣いただろうか。
とんとん、と肩を叩かれた。
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