「好きなもの好きなだけ買え。」
そう言われて店内を見回るものの、ふと見た値札に書かれていたのはいくつもの0。
ぎょっとして船長さんを見ると、1つ欠伸をしてこちらを向いた。
「なんだ、気に入らないのか?」
「そ、そうじゃないけど………。」
ただでさえ買ってもらうというのに、こんな値段の洋服をいくつも買うことは出来ない。
そう言おうとするも、先に口を開いたのは船長さんの方だった。
「なんだ、決まんないのか?」
「うん………。」
「………………ちょっと待ってろ。」
そのまま歩いて店員さんのもとへ行く。
そして、一言二言話した後、すぐに戻ってきた。
「次行くぞ。」
「え、服は…?」
「全種類船まで運んで貰えるよう手配した。」
……………船長さんの金銭感覚がおかしいことにもっと早く気付くべきだとひたすら後悔した。
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