船長さんのいるテントは明かりがついていることによって、船長さんが寝ていることが分かる。
入り口の前まで近付くと口を開いた。


「あの、せ、船長さんって呼ぶのは初めの癖がしみついちゃってて……。でも、これからはちゃんと呼びますから!その、待っててもらえますか?………ミナトっ!?さん!」




最後の言葉に反応してか、ばっとテントの入り口が開けられる。
それに驚いて、ついついさん付けをしてしまった。



「………まぁいい。次から船長さんなんて呼んだら、お仕置きだからな。」



躾のしがいがあるから、それはそれで良いんだけどな。


そんなことを言って笑った船長さんだったけど、私は気付いてしまったんだ。

ほんのりと赤く染まっている耳に。



「お仕置きは勘弁してください」



これって両思いなのかな、なんて思い返すような仕打ちを受けているけれども。
これも船長さんの愛情表現なのかななんて考えると、くすぐったくてなんでも許せる気がしてきた。



これってもう、末期なんだろうな。
そう思った出来事だった。




.