しばらくその体勢でいた私たち。 先に動いたのは船長さんの方だった。 「いい加減どけ、重い。」 「ちょっ………!」 か、仮にも好きな人に向かってそんな、重いだなんて言って良いの!? デリカシーのなさに涙も引っ込む。 無理矢理退かされた私が座ったまま船長さんを見上げると、すっと手が伸びてきた。 「何見てんだ、行くぞ。」 その手をぎゅっと握りしめて、私も立ち上がった。 .