「いきなり何なんだろうな。」
馬鹿にしたように笑うミナトとは裏腹に、団員たちは目を鋭くさせていた。
すぐにでもあの手の中の手紙が欲しかったからだ。
ミナト宛の手紙を読んでくれれば、ミナトももしかしたら記憶を取り戻してくるかもしれない。
ミナトの記憶喪失を、ユーリがいないショックからだと思っている団員たちは、みんな何も言わないものの、思っていることは一緒で。
目を見合わせると頷きあった。
「ミナトさん……。」
「なんだ?」
「あの、すみません。今日はここまででも良いですか?医者が体調崩したみたいで……。」
お腹を押さえる医者に目を向けるミナト。
その姿を見て、医者の体調が万全になるまでは動かないことを指示する。
そして、団員たちはその日から盗賊として、あの手紙を盗みに動いていた。
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