「もしもし……」
知らない番号に、不審に思いながらも出てみる。
「もしもし、崎坂伊織というものですが……」
どこかできいたことのあるような男の人の声。
それよりも発した言葉に驚いて、つい携帯を落としてしまった。
「あ、あのっ!お会いすることってできませんか!?」
とにかく色々聞きたいことがある。
しばしの沈黙の後、崎坂さんは答えた。
「明日の2時、出版社の前で待っていてください。」
プツリ、と電話が切れたことを示す音が流れる。
それでも私は耳から携帯を離すことが出来なかった。
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