「喋るな馬鹿っ!死ぬぞ!」 今ここで喋っても喋らなくても、きっと私は死んでしまう。 「せんちょ…さん、私………」 あなたが好きです。 そう伝えるはずの口は、船長さんの口によって塞がれていた。 「…………喋るなって言っただろ、馬鹿。」 ぽつん、と雨でもないのに顔に水が落ちてくる。 遠のく意識の中、声が聞こえた気がした。 「おまえの願いは聞き届けた。」と。 .