「やっぱり、追いかけてなんてきてくれないよね。ペット卒業したんだし……。」




拭いても拭いても止まってくれない涙。



どうして私、こんな世界に来ちゃったんだろう。船長さんと会っちゃったんだろう。


前の世界に帰りたい。






そう強く願ったとき、聞き覚えのある不気味な笑い声が聞こえてきた。


「お嬢ちゃんの願いはなんだい?」




暗い裏道にひっそりと立って手招きをする魔女。その手に引かれて、気付いたら私は魔女の前に立っていた。



「そうかそうか。世界を飛び越えたいか。」


かわいそうに。
そう言って私の頭を撫でてくる魔女。



「願いを叶える変わりに、何かわしにおくれ?」





「……………私の居場所をあげる。」



でも、元の世界に帰る前に少しだけ猶予が欲しい。






まだ、船長さんに伝えてない言葉があるから。








魔女は笑って頷いた。









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