「お嬢さん、魔女と会ってしまっただろう。」


図書館に来て早々、この前会ったおじいさんに話しかけられた。



「……なんで分かったんですか?」


「私も、魔女に願いを叶えて貰ってしまったからな。」



おじいさんは、苦しそうに言った。


「………永遠の命、というものを。」




「永遠の、命…………。」

おじいさんはもう何百年と生きてきて、転生した青年を何度も見つけては、魔女の呪いについて伝えているらしい。


おじいさんが永遠の命と引き替えにしたのは、目。目とは言っても、視力を奪われたのではなく、むしろ人間の心まで見れるようになってしまったらしいのだ。




「そして私は気付いたよ。人間とは言葉と心がちぐはぐな、恐ろしい生き物だ。永遠の命なんて貰うものではない。魔女への願いの取引は、悪魔との契約と同じだ。」



だから私はここで、魔女に願いを乞う人が増えないように言って聞かせてるのさ。





そう言ったおじいさんの目はどこまでもまっすぐでとても格好良かった。







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