「そーいえばおまえ、記憶喪失ってどこまで忘れてるんだ?」


痛いところをついてくる船長さん。
質問されても、私には答えることが出来ない。
かといって、船長さんたちに嘘をつきたくはない。


本当のことを話して軽蔑されたりしないかな?
嘘をついてたからって捨てられるかも。




それでも私は、今までペット扱いしながらも大事にしてくれた船長さんたちに。居場所を作ってくれた人たちに嘘はつきたくなかった。


「実は私は、この世界の人間じゃないんです。」



は?という顔をされる。そりゃあそうだよね、誰だって信じようとは思わないぐらい突拍子もない出来事だもん。
それでもちゃんと本当のことを話そうと、話を続けた。



「私の世界では、盗賊とか海賊とかっていうものは公に存在していなくって、私は戦争とかがない国に住んでいました。子供はみんな学校に行って、色んなことを学んで、大人になって働く。そんな平和な生活をしていました。
その日私はいつも通り学校に行くために家を出ました。そして、気付いたら空に足を踏み出していたんです。後は皆さんが知っている通り、空から落ちてきて、船に乗せてもらえて…。
あの時は信じて貰えないだろうって思って、記憶喪失だなんて嘘をついてしまいました。ごめんなさい。………もし、私の存在が怖かったり、怪しかったりしたら置いていってもらって構いません。今まで本当にお世話になりました。」










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