「確かにおまえ、なんで俺のこと船長さんって呼ぶんだ?」


言え、と見えない圧力をかけてくる船長さん。
しょうがないじゃないですか!最初は海賊の船に乗っていたんだから…!

「初めて会ったときからの癖で…今更変えるのも違和感あってもういいかなって。」


「いいから名前で呼んでみろ。」




人の話を聞いていない船長さん。
なんなのこの人。言葉通じるのかな。

思っていたことがバレたのか、ぐいっと両頬を捕まれ左右に伸ばされた。

「ひたいっ!ひたいですへんちょーっ!」

「誰がへんちょーだ。」


最近されてなかったから油断した……!
なんとか離してもらい、頬をさする。

赤くなった頬を見て笑う船長さんに軽くイラッとした。



ふてくされる私と、それを見て笑う船長さん。



その現場は少女に見られていたのだった。

夜、テントの中でごろごろと考える。
もちろん内容はこの前の本のこと。


船長さんにとって、どうすれば良いのだろうか。そのことがずっと私の中で、もやもやしていた。



「ねぇ、ちょっと良い?」


声をかけてきたのは少女。
珍しいこともあるもんだなーっと返事をするとすぐに外に出た。







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