ペット化宣言



「だ、だがしかしそれではこの国が………」


「金がないのはおまえらの金遣いが荒いからだろ。それか、自分の裕福のために自分の娘を犠牲にするのか。とんだ父親だな。」


その言葉につまる王様。
そして、少しの沈黙の後に一言発した。



わかった、と。





「話の分かる王様じゃねーか。ほら、姫は返す。」




そう言って船長さんが差し出したのはさっきのフードを被った女の人。
背中を押された拍子にはずれたフードから現れたのは、私と全く同じ顔の女の人だった。


「ユリ!」


王様が慌てて駆け寄る。
その王様を制し、体を翻すとお姫様は船長さんの前まで歩いていった。



「あんた、案外良い奴だったのね。」


「………何のことだ。」




その言葉ににこっと笑うと、お姫様は船長さんの頬に手を添える。
そして近付いたかと思うと軽いキスを落とした。






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