ゆっくりと破らないようにめくる。
そして、書かれた言葉に私は本を落としてしまった。
『これは呪いだ。どうか、この呪いをといて欲しい。じゃないとまた…………。』
血で書かれたその言葉。
また…の先はぐちゃぐちゃすぎて読めないけれど、呪い、という文字が何度も私の頭を掠めた。
ぱたぱたと廊下を走る音にはっと現実に引き戻される。
どうやら置き手紙を読んでメイドさんたちが探しにきたみたいだ。
私は急いでその本をもとあったようにしまうと、何事もなかったかのようにメイドさんたちの元に向かった。
「もう、姫様ったらっ!ハリー王子がお待ちですよ!」
ごめんね、と謝っておく。
本物のお姫様は見つけられなかったけど、それよりも重要なものを見つけてしまった気がする。
なんとかして船長さんに伝えなきゃ!
いっそう逃げ出さなきゃ。
そう思いつつも、私は流されるままにハリー王子と食卓を囲んでいた。
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