王様との謁見の後、すぐさまメイドさんたちにドレスの着せかえをさせられる。

どのドレスもとても煌びやかで、私ではとうてい着ることの無かったであろう服ばかり。
いつの間にか楽しんでしまっていたらしく、ドレスが決まった頃にはもう夜になっていた。



「さぁ姫様。これを着て、ハリー王子を悩殺してしまいましょう!」


メイドさんたちは、ハリー王子との結婚をそうとう喜んでいるようだ。
ハリー王子なんて顔も分からないし、すぐさまこの場から逃げ出したい。

でも、ここで私が逃げ出したことでハリー王子の国とこの国とが仲違いしてしまったとしたら、国民のみなさんたちを戦争に巻き込んでしまう。


早く本物のお姫様を探さなくちゃと、部屋に置き手紙を残し、まずはお城から出る方法を必死で探すことにした。




ある程度部屋を見て回ったけれど、出れそうな部屋は全部監視がついている。
目についた部屋に片っ端から入っていると、たどり着いたのは図書室だった。


「うっわ…すごい本の数。」

壁全面に本が並べられていて、さらには可動式本棚まで設置してある。
隠し扉とかあったりしないかな、と壁や床を中心に探していると、ある壁に面した本棚に、軽くこすれた後があった。


興味本位でその本棚を押してみる。
すると、ゆっくりとした音と共に少しだけ奥に本棚が進んだ。





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