無愛想そうな昴に寺本さんは躊躇いながら俯いた。


悪気はねえんだよコイツも。ただ葛藤してるだけだからほっとけ。寺本さんは嫌われてるとか勘違いしてそうだけど生憎それこそ勘違いだ。



「………行くぞ」



俺に一言かけて歩き出す。



「は?ま、待てよ!」



寺本さんを置いていくのは気が引けたが慌てて追い掛ける。きっとコイツの頭の中では『こうやって去るのが主流だ』と考えてるに違いない。


確かに格好いいが昴の脳内を把握できる俺にとっちゃ複雑だ。