「ごほごほっ」

今は季節の変わり目のせいか風が冷たい。

僕もここ数日の気温の変化に体がついていけなかったのか空咳ばかりが出る。

そして、ふと思い出す。

自分は労咳で、蝶がいなければ今も自分の体は病に侵されていたのだと。

「ごほごほっ。うわ・・・喉まで痛くなってきた。」

そんな独り言をつぶやきながら廊下を歩く。

すると向こうから蝶がきょろきょろしながら走ってくる。

本当にいつもきょろきょろしていて面白い。

蝶「あ、いた!!!」

総「ん?僕のこと探していたの?」

蝶「そうだよ!!総司、具合よくないでしょ!?」

いきなり僕の着物のをつかみ少しにらむ蝶。

なんでしっているのかと思わず驚いてしまう。

蝶に心配かけないように部屋では極力咳もせず普通にしていたのに・・・

総「なんのことかな?」

あまり心配をかけたくないので知らないふりを通すことにした。

蝶「夜中にたくさん咳してたもん。それにいまだって少し声枯れてるし。」

寝ているときのことは想定外だった。

総「本当に大丈夫だよ。」

蝶「もう!!聞き分けがない子にはこうです!!」

そういって蝶は僕のおでこをこつんと小突く。

次の瞬間意識が遠のく感覚がしての僕は意識を手放した。