誠の桜に止まる蝶~沖田目線~

沙「さ、左之助さんあ、あの目立ってるから降ろしてほし・・・」

左「そんなの聞くわけねえだろ?」

間髪入れずに俺は否定する。

土方さんの命令で人ごみから目くらましをするためにそれぞれ散る。

だがこんな綺麗な女を連れて歩いていると嫌でも目立ってしまうため近くの店へはいる。

左「すまねえな。こいつに似合う着物を仕立ててくれねえか?」

「まあ愛らしい御嬢はんですなあ。兄はんの連れどすか?」

左「連れか。まあそうだな。こいつは俺の妻だからな」

俺の言葉に目を見開き真っ赤に顔を染める沙織。

そしてそのまま奥へ連れて行かれる。

すこし待っていると奥から店の主人から出てきた。

「今奥さんは着替えてらっしゃいます。それにしてもようあんな綺麗なお嬢はん捕まえましたなあ。」

くすくすと微笑む姿はとても美しい。

左「まあな。これでも努力したんだぜ?」

「まあ。あんさんみたいなええ男でもやっぱり惚れさすんは大変なんやねえ。」

左「ああ。それに、あいつは俺には勿体ないくらい、いい女だからな。」

「心底惚れてるんどすなあ。そうだ。それならお二人にこれを。」

そっと俺に綺麗な簪を渡す。

「これは南蛮から輸入した硝子でできてはる簪。綺麗やろ?」

左「ああ。」

光にあたる簪はまるで虹のように輝いていた。