────あの頃
『じゃあ、ダイちゃん。迷惑かけると思うけど、ヒナのことをお願いね』
ママがダイちゃんにあたしを預けて仕事に出掛ける時
『ヒナには、ぼくがいるから大丈夫だよ!』って、いつも優しく言ってくれたよね?
それにママがいない間、ダイちゃんはあたしが『ママ~』って泣くと、何度も頭を撫でてくれたよね?
でも、あれから10年経ったら…ダイちゃんはちょっと意地悪になってるし。
あたしもダイちゃんに生意気にも意見するようになってて…なんだか不思議。
あの頃はダイちゃんが6つ上のお兄ちゃんって感じがしてたけど
今はなぜか、年の差があんまり気にならない…なんて。
「なぁ?ヒナ…」
「なに?」
隣を向くと、ダイちゃんが真面目な顔をしていた。
「今…神様にお願いするなら、なにを…お願いする?」

