[ ヒナ:side ]


「そろそろ…帰るか?」


寝そべっていたダイちゃんが砂浜から体を起こした。


ホントは『もう少しだけ…ここにいたい』って言いたかったけど、そんなわがまま言えなくて


「……うん。帰る」


気持ちとは反対の返事をした。


ダイちゃんはきっと…あたしの気持ちを少しでも落ち着かせようとして、この静かな海に連れて来てくれたんだと思う。


どこまでも続く大きな海と穏やかに流れる波の音が、疲れきった心を少しだけラクにしてくれた。



でも、この海よりも…あたしの傷ついた心を1番癒してくれたのは…隣にいてくれた



────ダイちゃんだった。