Phantom mask

千尋が急いで廊下を歩いていると、真正面からダンボールが歩いてきた。

「……????」

(何だろう…)

ダンボールを五、六箱抱えていたのは蓮だった。
男とはいえさすがに少しふらついている。

「おっとっと…………っ!!!!!」

バラバラバラとダンボールが落ちていった。
そのうちの一つの角が鳩尾に当たったらしく
廊下でうずくまって痛がっている。
とてもイケメンの行動ではない。

「ぶはっ………!!」

千尋は堪えきれなくて吹き出してしまった。
すると、蓮が千尋に気付き、ニヤリと笑った。

「おい、千尋。笑ってる暇があったら手伝ってくれるよなぁ?」
「え。」

千尋は心底イヤな顔をした。
今から玲のところへ行って、ケーキでももらおうかと思っていたのである。

「……そのダンボールなんなのよ……。」

捕まったからにはもう逃げられないだろう…と千尋は観念して蓮に聞いた。

「これか?これはだな……パソコンの周辺機器とか…着替えとか……勉強用具とか…あと……軍服かな。」
「あら、届いたのね。」
「あぁ。」

軍服は死刑執行軍の軍服である。
黒を基調としていて、赤のラインが入っており、金の装飾が施されている。
個人個人で少しずつアレンジが加えられていて、その人に似合う作りになっている。

「今日から着るのよね。」
「あぁ、割と格好良かったから気に入ったよ。」
「楽しみにしてるわ。」

そう言って走り出そうとすると、肩を思いっきりつかまれた。

「逃げようとしても無駄だぞ?ち・ひ・ろ・ちゃ・ん。」
「……………ちっ。」

おとなしくダンボールを2,3箱抱える。
割と重い。
でもほのかに蓮の匂いがして、体が熱くなった。千尋は気付いていないが。
2人でよろよろと運び終える。

「ありがとな、千尋。」
「出くわさなければ良かったわ。」
「茶でも飲んでけ。」
「……………。」
「ケーキ付き。」

パァッと目が輝く。

「………ッ仕方ないわねっ!!!」

千尋はそう言うと、蓮より先に、蓮の部屋へと入ってしまった。

「フフ…。」

(単純……)

蓮は顔のニヤケが止まらなかった。