【愛羅 side】
「ハァ・・・ハァ・・・。」

その女(ひと)の前に行った。

「アンタ・・・ハァ・・・名前は・・・?」

アタシは息を上げながら、その人の名を
聞く。

「あの・・・この学校に後藤愛羅って子
 いるかしら?確か2年生ぐらいと思う
 けど・・・。」





え・・・。



そか・・・顔も・・・覚えられてないの
か・・・。



「・・・質問に・・・答えろ・・・。」

「あ、ゴメンなさいね。私は後藤涼子。
 後藤愛羅ちゃんに会ったら私のこと
 言っておいてね。
 あ、ここに連絡お願いって。」

そう言って、後藤涼子はアタシに名刺らし
きモノを渡した。

アタシはその名刺をジーッと見た。

あれ?名刺には『後藤』じゃなく『滝川』
になってる・・・。

「私、ロリータファッションを中心に店を
 出してるのよ。よかったら・・・って、
 そのファッションじゃ興味なさそうね。」

そう言って、笑った。苗字には触れてない。



再婚・・・したんだ。



アタシはガンガンにメイクをして、ピアス・
ネックレスとか、なにひとつロリータという
言葉に関わってない。

「・・・。」

後藤…滝川鈴子は、名刺曰く社長らしい。

店の名前は・・・

『Pretty♥Color』

まー…すっげキャッピキャピだなおい。

「お願いね。」

そう言って、滝川涼子は踵を返して、帰って
行った。

「・・・。」

アタシはその場に呆然とした。

「アタシって・・・なんなんだろ・・・。」

そう、呟いた。