「僕さ、歌作ったよ。」
「ホント?!ナツとカヲル弾いてみてよ!」
「ん?あぁ。」
「え?棗もう知ってたの?」
「・・・まぁ。」
そう言って、試しのように弾いている。
カヲルも、ベースをアンプにつなげる。
「あ、愛羅。この歌ちょっと音程取りにくい
よ。」
「え?!何してくれんのよ!!!」
「だってちょっと音高いもん。」
「嘘・・・。」
「でも愛羅ちゃんビブラートうまいからいいじ
ゃんか。」
「あ、この歌語尾に『ん』が多いからロングト
ーンになるぞ。」
「ちょ・・・棗黙れ!!」
・・・なんてやりとりをしたあと、アタシと要は
用意してあるパイプ椅子に座って、タバコを吸い
ながらそれぞれピックを持つ。
「ジャンルは?」
アタシはフーっと煙を吹くカヲルに聞く。
「今回はバラードっぽく。」
「確かに『ん』が多いかもね・・・。」
苦笑いの要。 もう苦笑いもできないアタシ。
「・・・じゃ、いくぞ。」
コッコッコッ・・・ギターの側面を小突く音。
そして・・・。
ジャジャジャジャとまとまりのある音から始まった。
歌詞も出来上がっていたから、
アタシはちょっと教えてもらったトコを適当に歌って
みた。
「愛羅ちゃんスゴい・・・!音程しっかり取れてるよ!」
歌詞がこそばゆいけど、いい言葉には変わりはない。


