その声の主は、今朝校門で手を捕まれた男の人だった。
「どうも、また会ったね」
「何で、隣に座ってる訳」
「何でって……隣の席が空いてるから」
「だったら、他の席も空いてますけど」
そう。
私の隣の席じゃなくても、まだ他にも空いてる席がある。
「俺が座りたいのはここの席なの!」
「あっ、そうですか」
「そう言えば名前は? さっき教えてくれなかったでしょ?」
「…………神崎恵美」
私は渋々、名前を言った。
「恵美か……
可愛い名前だね!」
初めて…………
自分の名前が可愛いって言われた。
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