泥だらけの猫

 少しだけ広い道路に出た。 

 これだけでも随分と安堵した気持ちになる。 

 たまにヘッドライトが私の横を通り過ぎるが、道路の端に溜まった水溜まりを撥ねて私の身体に浴びせるだけで、停まるような様子の車はただの一台も無かった。

 それはそうだろう・・・

 こんな深夜に、それも視界も捉えられない土砂降りの中、ドロドロになった女が一人道を歩いている。 
 これは幻か、それとも・・・・