泥だらけの猫

 剥ぎ取られたストッキングのせいで地面の冷たさが足の指の感覚を奪う。 

 冷たさから痛さに変わったが、今はそれすらも感じなくなっていた。 

 空を見上げると、大粒の雨が放射状に落ちてきて、そのまま天に登っていくのではないかという錯覚に墜ちた。

 いくら歩いても小さな灯りは遠くに滲むだけ。 

 近づいてるのかどうか、判断する気持ちも無いままに私は歩いた。