いつもの席





校門の近くで、阿川君とばったりあった。



「あ。春野さん。おはよ。」


あたしはなぜか、阿川君の制服の袖を引っ張って、近くの物陰に連れて行った。



「あのね…。」


「ん?」


涙が出てきた。


「あのね…。あの……人を…もう…2週間も見てないの。」


「うん。」


……みずほが、

付き合える確率なんて無いに等しい。

的なことを言ってたのをおもいだして、さらに涙がこぼれた。


「それだけで……胸が苦しくて……。」


確率とか、どうでもいい。


「それで気づいた。」


「彼のことが、死んじゃうくらい好きなんだって…」


あたしは、その場で泣いていた。