「1/4の奇跡」左側の君に【完】





「阿部さん・・ごめん。


私、落ち着いたら戻るから。



ごめん・・ほんと・・」




阿部さんは撫でていた手を止めて、


自分の膝に戻した。






「落ち着くまで、私ここにいてもいい?」



阿部さんは笑った。阿部さんは笑うとえくぼがあって、

かわいいと思った。


「ありがとう・・・」


正直今、ひとりになりたくなかった。



さみしかった。


いろんな意味で、さみしかった。




「ごめんね・・」



いきなり阿部さんが謝ってきたから、

意味が分からず、私は思わず顔を上げた。




「なんで。阿部さんが謝るの?」



「もしかしてさ・・無理やりやらせちゃったのかなって。



ロリータ。


ほんと・・ごめんね」



私はぶんぶんと首を振った。


「そんなことない。


私、やらせてもらえてよかったって、


感謝しているぐらいだから・・



阿部さんが私と拓人に声かけてくれたから。



私と、拓人に・・・」





阿部さんは隣から私の顔を覗き込んだ。




「和泉くんと何かあったの?」