「阿部さん・・ごめん。
私、落ち着いたら戻るから。
ごめん・・ほんと・・」
阿部さんは撫でていた手を止めて、
自分の膝に戻した。
「落ち着くまで、私ここにいてもいい?」
阿部さんは笑った。阿部さんは笑うとえくぼがあって、
かわいいと思った。
「ありがとう・・・」
正直今、ひとりになりたくなかった。
さみしかった。
いろんな意味で、さみしかった。
「ごめんね・・」
いきなり阿部さんが謝ってきたから、
意味が分からず、私は思わず顔を上げた。
「なんで。阿部さんが謝るの?」
「もしかしてさ・・無理やりやらせちゃったのかなって。
ロリータ。
ほんと・・ごめんね」
私はぶんぶんと首を振った。
「そんなことない。
私、やらせてもらえてよかったって、
感謝しているぐらいだから・・
阿部さんが私と拓人に声かけてくれたから。
私と、拓人に・・・」
阿部さんは隣から私の顔を覗き込んだ。
「和泉くんと何かあったの?」



