和泉の顔色が、
朝見たよりも、
だいぶ良くなっているように見えた。
私は和泉のそばに行って顔を覗き込んだ。
「和泉・・・大丈夫?」
和泉はふっと笑って目をそらした。
「お前・・声でかいよ」
そう言って私の頭を、大きな掌で撫でた。
「和泉くん、葉月さんのこと・・・好きなの?」
真ん中の女子が泣きそうになりながらそう言うと、
和泉はその子を睨みつけた。
「お前らに答える気ねーけど。
はっきり言えんのは、
俺は、お前らみたいに噂を信じる奴らが、
ムカつくほどすっげー嫌いってことだ」
「ひどーい・・」
さっきまで強気で私に絡んでいた女子が、
メソメソと泣き出した。
「そこまで言うことないじゃない!
ずっと依子(よりこ)は、和泉くんのことを見てきたのに。
ずっと和泉くんのこと好きだったのに。
ひどすぎる!」
真ん中で号泣している依子のために、
両隣の女子たちが和泉を責め始めた。
「お前らが葉月に言った言葉の方がひどいだろ。
それに、ずっと見てきたって・・・
正直目障りなんだよ」
依子はさらに激しく泣き出してしまった。