一緒に朝ごはんを食べ、
いつも一緒に通勤していたお父さんに、
拓人に送ってもらうと言ったら、
ちょっとさみしそうに「そうか・・」と言って、
先に天文台に行ってしまった。
私はまた拓人の車に乗せてもらって、
天文台に送ってもらった。
また、メガネをかけて、
寝癖のメガネ姿の拓人を明るい中で見て、
出勤前に、胸がキュンとしてしまって、
どうしようかと思った。
「花音って何曜休み?」
運転しながら拓人が聞いてきた。
「月曜休みだよ」
「休み合わねーな・・」
「そうだね」
天文台の駐車場について、
拓人はハンドルをくるくると回して駐車した。
「コテージにいつか泊まれないかな」
拓人は前を向いたままそう言った。
「泊まる・・・コテージ?」
拓人は頷いた。
「約束していたのに、泊まれなかっただろ。
でも、花音が休みってことはコテージも休みか・・」
「ううん。コテージは違う会社の管轄だから、
天文台の職員とは、違う勤務体制なの。
聞いてみるね・・・
私も、拓人と泊まりたいし・・・」
私がチラッと拓人を見ると、
左手を伸ばして頭を撫でてきた。
「仕事、頑張れよ」
私は頷いて、車を降りた。
あ・・・待って・・・
私は、助手席の窓をコンコンと叩いた。
すると窓がゆっくりと開いた。
「どうした?」
私は、バッグから手帳を出して、
携帯とアドレスを書いてぴりぴりと破き、
運転席の拓人に手を伸ばして渡した。
「また・・絶対に会えるよね?」
拓人は紙を見てから笑った。
「後で、メールするよ。
帰りの時間を返信しろ。
迎えにくるから。
ほら行け、遅刻するぞ」
私は頷くと、天文台へと走った。
途中で振り向くと、まだ助手席の窓は開いたままで、
ハンドルに腕を乗せて、
拓人がこっちを見ていた。
私が大きく手を振ると、
拓人はうんうんと頷いた。
・・・やっぱり頷くんだ・・・
そっか・・・同じなんだ。
私たちはずっと・・・・・・
私はまた天文台へと走った。