お母さんは、座っていた私の隣に立って、

私を抱きしめて、頭を優しく撫でてくれた。




お母さんに抱きしめられたのって、


頭を撫でられたのって、



いつぶりだろう。






お母さんは何も言わずに、


私が泣き止むまでずっと撫でていてくれた。




時々お母さんの方から鼻をすする音がして、




なかなか涙が止まらなかった。




そしたら、なぜかお母さんはケタケタと笑い出して、



私が顔を上げると、


あはははっと笑って、私の涙をエプロンで拭いた。






「こんなに泣いたの久しぶりで、


泣きすぎて笑っちゃったわ!



あはははっ!!


さ!お風呂お風呂!お母さん先入るわね!」





お母さんは、お父さんと同じように、


和室の拓人をチラッと見てから、


リビングから出ていった。