「沙羅さん!! お待たせしました!! すみません!!」 額にうっすらと汗をかきながら私の元へ走ってやって来た。 通行人は美青年が大声を出しながら走って来るので、皆何事かと振り返っている。 「気にしてないよ。 行こっか。」 「はい!!」 きっと練習が長引いたのだろう。 練習バッグを持ったままの南に気づく。 それでも言い訳しない所が南らしい。 私は南のそういう所が好きだ。 そういう、不器用な所。 「沙羅さんはどこか行きたい所ありますか?」 私は特にない。 だけど……