圭吾が何を考えているのか…少しだけ分かった。

だから
逸らそうとして沢山話をした。

「あ、あのね。それでっそれでね」

怖い。
話を止めたら圭吾が口を開きそうで…。
何で…何でこんな私焦ってるんだろ。


「…由香」

「でね!」

「由香、もう帰ろ」

帰ろ?
もう帰っちゃうの。
まだ一緒には、いてくれないの?

「…うん。」

本当に帰るんだよね?


本当のお別れじゃないよね?


「立って?」

そう言われるがままに立って
歩き出そうとしたら

圭吾は、座ったままで
数秒してゆっくりと立ち上がった。

「行こうっ」

そう言い圭吾と手を繋ごうとしたら


「最後のお願いがあるんだ。」



〝最後〟?







「俺に好きって言って…」


…好きって言うだけ?
だったら何回も言うよ。

だから
そんな悲しい顔しないで
最後だなんて言わないで







「そしたら





一度も振り向かないで帰って。

由香は…お前は、橘のところに戻りな。


ありがとな!」


そう言って君は、笑った。