プロテッツィオーネ王国のとある場所には綺麗な丘がある。

私のお気に入りの場所。

少し魔物が多いくせに強いから厄介だけど。

この世界で風がこんなに気持ちのいい場所は珍しい。

きっと知っている人はそういない。



ここで私は彼に出会った。

私はこの日を一生忘れない。



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「いち、にー、さん、よん、ごっ!

 よし、これでいいかな。」



木のそばに生える不思議な形をした草。

今日の夜ご飯に食べたくなり、

私はそれを摘みにお気に入りの丘にやってきていた。


ふわりと緑の風が吹き、私は草の香りに包まれた。

その風を思いっきり吸いたくなって、私は肺の中の空気を吐きだした。



「うわぁっ」



大きく息を吸おうと思った刹那、そんな声がどこかから聞こえた。

…このあたりは魔物が強いから。


ゆっくり吸おうと思っていた空気を短く吸い込み、

私は防御魔法を唱えて声のした方へ向かった。



人は嫌いだけど、助けないわけにはいかない。

死んでしまったらすべてが終わってしまうから…。