ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


話しているうちに、太陽はどんどん南にのぼる。

壁にかかった時計の針は、9時30分を少し過ぎていた。

どんな時でも、アサミと話していると時間が早く過ぎる。


「じゃあ、電話するよ……!」

アサミはヒロに電話をかけた。

朝だし、まだ寝てるかも……と心配もしたけど、昼からバイトがあるらしく、ヒロはすぐ電話に出た。

おはよう。

昨日は楽しかったね。

そんな当たりさわりない挨拶をパパッと済ませ、アサミは目的に近付いた。

「あのさ、マサキって、今月の終わりまでこっちにいるんだよね?

夏休みの間、ヒロって、マサキに会ったりする?」

…………。

アサミとヒロがどんな会話をしているのか気になり、私は無意識のうちにアサミに肩を寄せ、彼女のケータイに耳を近付けていた。

『いま、隣で寝てる。

昨日、同窓会終わった後、マサキ、ウチに泊まったから』

けっこう大きく、ヒロの声が漏れ聞こえた…!

アサミはすかさず質問する。

「マサキって、今は親戚のウチに泊まってるんじゃなかったの?」

『昨日はたまたま。

……まあ俺も、マサキと話したいこといろいろあったしさ。

明日までウチに泊まるって。

夜、俺のバイトが終わったらマサキと飲みに行く』

「あたしも行っていい!?」

『いいけど、先輩のバイト先に行くから、店選べないよ?

それでもいいなら』