「あ! 『中退』で思い出した!」
アサミが大声で本題を切り出した。
「マサキが大学やめた理由、小説に書いてあったよ!
ミオは、そこまで読んだ!?」
「ううん、まだ、そこまでは……」
「お父さんが、リストラにあったんだって……!
マサキは大学続けたかったみたいで、学生課の先生に相談にも行ったらしいけど、奨学金の申し込み期限に間に合わなくて、仕方なく辞めたって……。
結局、家族そろってお母さんの実家に住まわせてもらうことになったから、愛知を出て大阪に引っ越したみたい。
小説に書く前に、私達にも教えとけよって思った!」
驚き半分、不満半分という顔で、アサミは言った。
「最初は、ただ先が気になるってだけで読んでたのに、この小説の作者がマサキって分かったとたん、ますます寝れなくなってさ……。
ミオは、どう思う?
マサキって、絶対まだ、ミオのこと好きだよ……。
って言われても、ミオは困るか……。
今、桐島と付き合ってるもんね」


