「実は、私も今までマサキの小説読んでたんだけど、最初読もうとした時、ブックマークに登録してたはずが、消えてたんだ。
昨日、マサキにケータイ借したじゃん?
多分、その時に消されたんだよ」
マサキは機械に強い。
高校の頃、初めて買ったブルーレイ機器を取り付ける時も、私一人ではできなかったので、マサキに全部やってもらった。
説明書を読んでも分からなかった私と違い、マサキは説明書など読まず取り付けをこなした。
「マサキなら、みんなの電気屋になれるね、あはは」
笑う私の頭を小突き、マサキは言った。
「バーカ。彼女の特権だろ?」
触ったことのないケータイを思いのままに操作するのだって、マサキにとっては朝飯前だろう。
「会社に連絡するなんて、ただの口実。
ウソついてまでケータイ借りてブックマークを消去したり、アサミにひどいこと言ったり……。
それだけマサキは、私達に自分の小説を読まれたくなかったんだよ」


