ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


努力なんて、何もしてこなかった。

昔から、そう。

勉強の出来ないクラスメイトを見て、「どうしてこんな簡単な問題が分からないの?」と、素で思った。


恋愛に関しても。

失恋に苦しむ人を見ては、「だったら深入りなんかしなきゃいいんだよ」と、冷めた目を向けるだけだった。


傷ついた経験を、まったく糧(かて)にできてなかった……。

共感性に欠ける、無知で傲慢(ごうまん)な人間。

私は、人として恥ずかしい生き方をしてきたんだな……。

恥ずかしい、本当に。


こんなんだから、マサキにもフラれたのかもしれない。

マサキはいつも優しくしてくれたけど、彼は、私のこんな部分を見て、嫌になったのかもしれない。


マサキ……。


このままじゃ、ダメだ。

将来のことも、

恋愛のことも、

なあなあにしていては、また同じ失敗を繰り返す……!

危機感を覚え、ますます目がさえた。

ベランダで一人、頭を抱える。

自分の欠点に気付いたところで、今さらどうしたら直せるのか、分からない。