マサキと私の間に流れる空気が、スローモーション映像のように感じる。
いま、私はどんな表情をしてるんだろう?
マサキに今の顔を見られたくない。
感情がだだ漏れになってる気がする……。
「マサキ! ひっつきすぎじゃない?
ミオには彼氏いるんだから、今さら手ェ出したって無駄だからねっ!」
私の気持ちを代弁するみたいに、アサミが言った。
冗談っぽく軽い口調なのに、彼女の目は真剣だった。
場の空気が瞬間冷凍されたみたいに、ヒロとマサキは動きを止め、私を凝視する。
「……そっか、悪いな」
私の肩から勢い良く手を離し、マサキは私にこんな頼み事をした。
「ちょっと、ケータイかして?
今日、忘れて出てきちゃってさ。
職場に連絡したい」
「うん、いいよ」
ヒロにかりればいいのに…と思いつつ、そうするのが当たり前のように、私はマサキにケータイを差し出していた。
こんな何でもない頼み事でも、されるとやっぱり喜んでしまう。


