ヒロの話に圧倒されたアサミと私は、しばらくポカンとしたまま、何も言えなかった。
私には想像もつかない。
マサキはヒロと、そんな話をしてたんだ。
たしかに、ヒロの言う通り、私達女子は、長い学生時代の中で女同士の難しさを経験してきたから、男子の方がサッパリしてて関わりやすいし、面倒が少ないと思っていた。
社会人になると、逆になるのか……。
マサキも、社会人になって、多少スレた部分があるのかもしれない。
付き合ってた頃は、友達とそういう会話をするマサキの姿なんて、想像すらできなかったから……。
どことなくしんみりした雰囲気を変えるように、ヒロは明るく宣言した。
「ま、俺とマサキはそんな男にはならないって決めてるから、安心して!
ゆとり世代に生まれて良かったと思う瞬間。なんてね!
プライドなんて、とっくに捨ててるし。
業績のために職場という戦場で張り合ったって、しょせんはどんぐりの背比べ。
世の中は広いよ。
社内の人間と競争して、自分の価値観で勝ち負けを決めて、それの何が楽しいのか、俺らには分からない。
視野を広く持たなきゃ、人生つまらないでしょ。
マサキも、そう思ってるはず」


