ヒロによって語られるマサキの社会人生活に、アサミは腹を立てた。
「ムカつくそれ! 許せない!
マサキは、先輩に迷惑かけないために努力してたのに、マサキが認められた瞬間、その人達はマサキの邪魔したんだよね!?
会社って、そんなやつばっかなの!?
同じ仕事してるんだから、普通、助け合うもんじゃないの?」
「残念ながら、そんなスムーズにいかないらしいよ。
プライドが先走って、優れた人間の足を引っ張ろうとする先輩は多いんだって。
特に男はね。
つまんないことで、と、思うだろ?」
ヒロは実感を込めて言った。
「女の子はよく、女同士の関係はめんどくさいって言うけど、社会人になると全く逆かも。
女性の方が賢くて、融通(ゆうずう)利く人が多いよ。
周囲との調和を何より大事にするのも、女性。
男はアホばっかり。
周りとぶつかっても、自分のプライドを守ろうと必死になる。
しょせん男は劣等生物だしね。
……って、ほとんどマサキの受け売りなんだけど、俺も、バイト先にいると、よくそう思うよ。
思い通りにいかないと、相手にパワハラまがいなことをして自分の主張を通す男って、少なくない」


