「はあ。なんか気分いいなあ」
アサミのそばで、私は食べ放題の料理をノンストップで口に運んでいた。
手料理なんて、年に数回やるかやらないか。
そのくらいものぐさな私にとって、こういう場は貴重。
食べてる時は幸せだ。
サクには悪いけど、彼と寝る時より満たされるし。
「さっき、だいぶイラついてたみたいだけど、マサキの仕事ってそんなに大変なの?」
アサミがヒロに質問する声がして、私もヒロを見遣った。
マサキは遠くで違う人と話してて、今はここにいない。
いくら飲んでも酔わないアサミ。
水でも飲むみたいにビールを口にしながら、ヒロにマサキの仕事事情を尋ねていた。
アサミはアサミで、さっきのマサキのとがった言動が気になっているんだろう。
私も、気になる。
「マサキには内緒な」
ヒロはためらうように口を開いた。
マサキが大学を中退しどこかへ引っ越した後も、ヒロは彼と連絡を取り合ってたそうだ。
「大学やめた後すぐ、マサキは、家族と一緒に、母親の実家がある大阪に引っ越したんだ」


