ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


うん、そうだよ。

これが、本来のマサキだ……。

自分の非を素直に認め、誠意を込めて謝る。

アサミは感情の起伏が激しいけど心が広いから、謝る人をいつまでも責めたりはしない。


同窓会の参加メンバーが集まり、幹事が店内に案内してくれるまで、結局私はマサキと目を合わせられなかった。

来ると思ってた仲良しメンバーのユキリンは遅れるらしいので、私とアサミは、ヒロとマサキの前を歩き、たわいない話をしながら店に入っていく。


地下2階の店内は、間接照明で薄暗いのに、所々に飾られた花やデザイナーズライトのおかげで華やかな雰囲気だった。

地下1階が通常の客が来るフロアらしく、ボックス席が10席ほどならんでいる。

同窓会会場となった地下2階には、地上からは想像もできない広々としたフロアがあった。


すでに料理の準備は整っているらしく、フロア中央にはシックな黒いテーブルがならび、その上には、新鮮な海鮮類や、名前も分からない出来立て高級料理がならんでいる。

テーブルには、グルメ雑誌で紹介される記事の写真に使われてそうな、凝った装飾がほどこされている。

フロアのすみにはカウンターがあり、そこに行けばベテランの店員が酒を作ってくれる。

種類豊富なうえ、飲み放題だ。

食事は立食バイキング形式。

皿の中の食べ物が無くなる前に、出来立て料理がテーブルまで運ばれてくる、といった感じ。

休憩用にと、フロアの隅にはソファーが何席かある。


ここへ来る前は、同窓会に1万円の会費を出すなんてもったいないと思ってたけど、実際に来てみると、そんなに安くていいのかと言いたくなるほど華美(かび)なおもてなし。

納得の時間を過ごせそうだ。